今回で対策の記事は最終回です。
前回の記事で整理した情報を研究計画書への落とし込みについて紹介します。
研究計画書への記載について
はじめに、LEC会計大学院のyoutubeで「LEC会計大学院説明会-入学試験概要編-」が公開されており、動画内で出題書類作成のヒントが語られているのでそちらを参考にします。
要約すると研究計画書に記載する内容は以下になります。
- 研究テーマ
- 研究テーマのタイトル
- 研究テーマの概要
- どんな点に問題意識
- 何を明らかにするか
- 先行研究はどこまで議論が進んでいるか
- 自分の考え、仮の結論
- 研究テーマにした理由
- テーマを取り上げたきっかけ
- 研究方法(研究をすすめていくための具体的方法)
- 研究の進め方
- 論文の流れ
- 末尾
- 参考文献リストなど
LEC会計大学院のyoutubeを基に作成
1.研究テーマと5.末尾についてはそのまま記載するだけなので説明は省略します。
2.研究テーマの概要
研究テーマへの概要について解説します。
前回整理した情報をyoutubeで語られていることに落とし込み、文章にできればいいのではと考えます。
研究計画書へ落とし込んだ例は以下のようになります。
例(あくまで一例です)
条文Aは「~~~」と規定されている。しかし、この条文Aを〇〇に適用するには、単に条文通りに判断するだけでなく、「XXであることが確認できる」などの外的状況も判断しなければいけないとされている。そのため、明確な判断基準がなく、裁判での争いも多い。このように、裁判例や実務においても判断基準が明確でない点に問題がある。
⇐どんな点に問題意識
また、先行研究では、条文Aを〇〇に適用するには、外的状況としてXX性とXX性が確認できることが必要であるとの説が有力とされている。
⇐先行研究はどこまで議論が進んでいるか
たしかに、XX性とXX性必要ではあるが、それ以外にもXX性も必要でないかと考える。なぜなら、~だからである。裁判例を見ても、XX年に起きたXX事件が重視され、その後の裁判ではXX事件を踏まえた判断がなされており、踏み込んだ議論がなされていないように思われる。
⇐自分の考え
そこで、本研究では、条文Aを〇〇に適用するために必要な判断基準は何かを明らかにすることを目的として進める。結論として、「条文A」を〇〇に適用するためには、「XX性」と「XX性」に加え、「XX性」も必須要件であることを証明する。
⇐何を明らかにするか、結論
3.研究テーマにした理由
研究テーマにした理由について解説します。
研究テーマにした理由については、自身の実務での問題や疑問に思ったことを書いていけば良いと思います。
研究計画書へ落とし込んだ例は以下のようになります。
例(あくまで一例です)
私は、税理士事務所で働いている。お客様とのやりとりで、よく〇〇に条文Aが適用できるかといった質問を受けることがある。このような質問を受けた時は、インターネットや国税庁が公表している基本通達を参考にして判断し、そのうえで所長に相談してから回答するようにしている。
しかし、近年は〇〇も複雑化しており、上記の対応で適切な回答ができていたか不安が残ることや、同じ事例でも所長と意見が相違することがある。
そこで、条文Aを〇〇に適用できるかという点を研究題材として取り上げ、条文Aの内容や解釈をより深く理解することにより、お客様に対して自信をもって回答できるようになりたいと考え、本テーマを選択した。
4.研究方法
研究方法について解説します。
前回整理した情報をyoutubeで語られていることに落とし込み、文章にできればいいのではと考えます。
研究計画書へ落とし込んだ例は以下のようになります。
例(あくまで一例です)
私は、本研究を進めるにあたり、1年前期は文献の収集と読み込みを中心に取り組む予定である。具体的には、条文Aの沿革を理解するために、条文Aが創設された当時の資料や、それに大きく影響を与えたシャウプ勧告に関する文献を幅広く収集する。
先行研究については、〇〇に条文Aが適用できるとする見解と、適用できないとする見解の両方を比較検討するため、特にXX性とXX性に着目しながら読み込むことを重視する。また、これら以外に注目すべき点が見つかった場合には、関連する文献も加えて検討の幅を広げる。
裁判例については、条文Aに影響を与えた主要な事件(メイン事件)の争点を確認したうえで、そこで示された裁判所の判断を検討する。その後、メイン事件以降に争われたサブ事件Aやサブ事件Bについても、同様に争点や裁判所の判断を調べ、メイン事件との比較を行うことで、判断基準や法解釈の傾向を整理したいと考えている。
加えて、論文執筆に必要な文章構成力の向上を図るため、アカデミックライティングの講義を受講し、ここで学んだ知見を活かして論文の序論を仮完成させることを目標とする。
次に1年後期は、論文指導の講義X回目までに序論合格を目指す。序論では、研究の背景や問題意識、目的を明確に示し、読者が研究全体の流れを理解しやすいように構成する。また、この段階で論文全体の目次立ても行い、研究の各章でどのようなテーマを扱うのかを具体的に定めておき、論文の沿革を仮完成させることを目的とする。
続いて2年前期は、先行研究および裁判例で示されている見解を整理・分析し、自身の見解を踏まえた妥当な結論を仮完成させることを目的とする。さらに、仮で書き上げた内容を全体として見直し、指導教員と協議を重ねながら執筆の方向性を確認し、必要に応じて修正や追記を行うことで、論文の完成度を高めることを目指す。
最後の2年後期は、論文そのものを完成させ、最終審査に耐えうる水準に仕上げることを目標とする。審査で指摘された点や自ら気づいた改善点があれば、適宜修正を加えつつ、提出期限までにさらに質の高い論文へと仕上げていく。最終的には、国税審議会からも認められるような完成度を目指す。
以上の計画に沿って研究を進める。
⇐研究の進め方
論文の構成については、はじめに序論を記載し、その後に条文Aの沿革、先行研究、裁判例の順番で情報を示すことで、読者に必要な知識を段階的に提供する流れを作りたい。そして、これらの分析を踏まえたうえで、自身の見解を提示し、最終的に結論を示す構成とする。このように、研究の進め方と論文執筆の流れを明確化することで、研究の各段階で何を行い、どのように成果を反映させるかがはっきりし、効率的かつ着実に研究を進行できると考えている。
⇐論文の流れ
まとめ
この記事を書いていて改めて思ったのは、当時の私がこの内容を読んでも、正直なところ3割ほど理解できれば良いほうだと思いました。
実際に本記事は、私自身が論文を執筆した経験をもとに書いたものであり、研究計画書そのものを作成した経験はまだありません。そのため、もし研究計画書の書き方についてさらに詳しく知りたいという方がいれば、研究計画書の書き方を解説している専門サイトや書籍などを参考にしてみるのも一つの手だと思います。
おわりに
長くなってしまいましたが、これで対策の記事は一通り終了となります。
今回は、研究計画書の書き方を中心にお話ししましたが、研究計画書以外の書類の作成も同様に重要です。特に、短期間(6日間)で仕上げなければならない課題は、入試試験で重要視されます。
ここまでの記事を読んで少しでもLEC会計大学院への入学を検討されている方の参考になれば幸いです。
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