先日、LEC会計大学院の入学試験が変更されるとの通知がLINEで届き、詳細を確認しました。
結論として、研究計画書の作成に重点が置かれるよう変更されたようです。
以下は、変更前後の研究計画書の要件を比較したものです。
概要
変更前(当時の受験記録を基に記載)
・文字数600文字程度
・研究テーマ
・研究テーマの概要
・テーマにした理由
変更後(LEC会計大学院入学試験のHPを基に記載)
・文字数1,500文字~2,000文字
・研究テーマ
・研究テーマの概要
・テーマにした理由
・研究方法
このように、以前の入学試験では求められていなかった「研究方法」の記載が加えられ、文字数も大幅に増えています。
変更点を見て真っ先に思ったことは、以下のような率直な感想でした。
変更後の入学試験だった場合は、落ちていたな・・・。
こう感じた理由は、当時私が研究テーマにしようとしていた内容が「法人税法における役員報酬の適正額」に関するものであり、国税審議会に提出するには適したテーマでなかったからです。
また、研究方法に関しても、当時参考書を読んで勉強してはいたものの、正直なところ理解が浅く、計画書にうまく落とし込むことは難しかったと思います。
そこで、過去の自分が今回の変更後の試験に挑戦すると仮定し、どのように研究計画書を作成すればよいかを考えてみました。
今回は研究テーマとは何かについて書きたいと思います。
研究のテーマについて
なぜ研究をする必要があるのかが分からないと、研究のテーマを決めるのが難しいと思います。
今回は、専門用語をできるだけ避け、簡単なストーリーを通して「論文のテーマが生まれるきっかけ」について解説します。
※かっこよく書いていますが、筆者自身が専門用語をうまく使えないという理由が大きいです。
とある納税者が、税務上の取扱い(A)に疑問を持ったことをきっかけに、以下のような流れで裁判に至るストーリーを考えてみます。
裁判前
納税者が課税庁に対して異議申し立てを行います。
Aという取扱いはおかしいのではないか? 課税庁に更正の請求をしてみよう。
Aの取扱いは正しい。理由は・・・。
納税者が課税庁の回答に納得せず、最終的に裁判で争うことになりました。
裁判
裁判所では、納税者と課税庁がそれぞれの主張を行います。
Aという取扱いはおかしい。理由は・・・。
Aという取扱いは正しい。理由は・・・。
地裁は課税庁を支持する判決を下しましたが、納税者は納得せず、高裁・最高裁まで争いが続きました。
最終的に最高裁は、納税者側の主張を認める判決を出しました。
Aの取扱いはおかしい。理由は・・・。
ただし、この判決には一部に疑問が残る点もありました。
その後の反応
最高裁判決後、この判決を巡って学者間で意見が分かれました。
最高裁の判決には問題がある。なぜなら・・・。
最高裁の判決に賛同する。なぜなら・・・。
さらに、Aに類似したBやCという取扱いについても争いが生じ、それぞれ異なる判決(Bは納税者勝訴、Cは課税庁勝訴)が出されました。
ストーリーはここまでです。
論文のテーマ
上記のストーリーから、論文のテーマを考える際に着目すべき点を整理します。
- メインとなる裁判事例があり、最高裁(高裁)まで争われている
- (例:Aの取扱いに関する争い)
- 学者間で意見が分かれている
- (例:学者Xと学者Yの見解)
- 裁判後も争いが続いている
- (例:Aに類似するBやCの取扱いに関する争い)
- 裁判の判決が統一されていない又は、判決に疑問が残る
- (例:Bは納税者勝訴、Cは課税庁勝訴)
当たり前の話になりますが、各者の意見が分かれていなければ、別の意見を主張する必要が無いため論文のテーマになりません。
学者の意見が多く研究が進みすぎている場合は、新しい意見を表明する余地が少なく、論文テーマとして適さない場合があります。一方で、学者の意見が少なすぎる場合、参考資料や研究材料が不足するため、説得力のある論文を書くことが難しくなる可能性があります。
そのため、程よく先行研究が進んでおり、裁判の判決が統一されていないテーマが、論文に適したテーマと言えます。
このようなテーマを選ぶことで、先行研究や裁判例を活用しつつ、自身の意見を論文として表明することが可能です。
ではどうすればよい研究テーマを見つけられるのかについては、自身で探すのは難しいため、租税判例百選などを使って調べるのがよいです。
詳細については次回以降に書きたいと思います。
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