今回は、Xの社労士さんが事務所の研修で使用している本を紹介しているツイートを拝見し、最低限の労務について学ぶには「図解 労務入門 人事の土台をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ」が特におすすめとのことでしたので、この本についてご紹介します。
文章が短く、図解が多いので労務初心者でも読みやすい本でした。
本書では、労務に必要とされる内容が以下のように10章に分類され、各章についてさらに10個の項目が設けられています。
私は、最初から読み進めましたが、気になる章からピンポイントで読み進めるのもおすすめです。
【目次】
Amazon「図解 労務入門 人事の土台をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ」より引用
Chapter 1. 労務
Chapter 2. 労働法・就業規則
Chapter 3. 労働時間
Chapter 4. 労働の対価
Chapter 5. 生活と健康
Chapter 6. 社内秩序
Chapter 7. 入社・異動・退職
Chapter 8. 労使関係
Chapter 9. 体制
Chapter 10. 労務担当者
各章は、各項目の解説⇒まとめ⇒本の紹介⇒筆者の経験の順番でまとめられています。
順番に解説したいと思います。
各項目の解説
各項目の解説は、左右2ページでまとめられており、左ページに文章による解説、右ページに図解が添えられています。文章による解説はいずれも短い文章の3ブロックから4ブロックでまとめられているため、分かりやすいです。
文章のみで長々と記載されていると初心者にはつらいので、その点図を見ながら理解ができる本書は入門書として理解しやすくありがたいです。
また、文末の記号は参考文献などの引用を示しており、本書272ページの参考文献一覧で根拠を確認可能です。読んでいる途中で内容の根拠を確かめたくなったときにも、すぐに調べられるので便利です。
まとめ
各項目を読み終わった後のページには、左右2ページのまとめページがあり、左ページに「会社での役割ごとに振り返ってほしいこと」がまとめられ、右ページではQ&A形式で項目別の注意点を1~2行で簡潔に紹介しています。
経営者向けに、従業員が言いづらい内容などへのアドバイスも書かれているので、今後税理士事務所を開業し、他の方々と一緒に仕事をする際に気をつけたいと思いました。
本の紹介
まとめの次のページには、各章の内容をさらに深く学習できるよう、関連書籍を紹介するページがあります。ここでは各章につき6冊の本がリストアップされており、それぞれの難易度や魅力がシンプルにまとめられているため、実際に1冊ずつ目を通さなくても、自分の目的に合う本を選びやすいです。
私自身は就業規則と給与計算に興味があったので、このページで紹介されていた「新標準の就業規則 多様化に対応した《戦略的》社内ルールのつくり方」と「2024年度版 給与計算実務能力検定®1級公式テキスト」を読んでみたいと思いました。
筆者の経験
各章の最後には、筆者の経験談が書かれており、さまざまな試行錯誤の中で失敗したことや上司から学んだことなどがまとめられています。これを読むと、労務が一筋縄ではいかない奥深さを実感できます。
全体を通した感想
本書を読んだことで、自社の労務面において、守れていない部分が少なくないと実感しました。労務は単に法律を遵守するだけでなく、会社の規模や組織の実態に応じた細やかな配慮が求められるため、一筋縄ではいかないものだと痛感。
また、「システムを導入すれば解決する」という安易な考え方では乗り越えられない課題が多いことも、改めて認識しました。実際の運用では、担当者が十分に理解を深め、現場とコミュニケーションをとりながら進める必要があると思いました。
さらに、福利厚生に関しても、コストがかかる以上は他社の制度をそのまま真似するのではなく、「なぜこの制度が必要なのか」「自社にとってどんな意義があるのか」という目的を明確化し、実態に合った仕組みを設計する必要性を痛感しました。
あと、本書で外部委託やシステム導入の注意点についても解説されていましたが、労務に限った話ではなく、外部委託やシステム導入を導入する際は最低限の知識を身に着ける必要があると思いました。知識がないまま「人やシステムに任せきり」にしてしまえば、問題が顕在化するまで気づけないリスクがあるため、導入する側がしっかりと仕組みを理解し、学びを深めることの大切さを再認識しました。
将来的に税理士事務所を開業して他の方々と働く時には、労務と人材マネジメントは別々に考え、より働きやすい職場環境を整えられるよう努めていきたいと思います。
おわりに
「図解 労務入門 人事の土台をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ」の解説はいかがだったでしょうか。初心者でも読みやすいため、労務について学びたい方は、ぜひ読むことをおすすめします。
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