税法論文を執筆する際、先行研究の収集には苦労される方も多いのではないでしょうか。私自身、LEC会計大学院に通学していた頃、講義はオンラインで受講できたため地方在住でも問題ありませんでしたが、論文執筆のための先行研究の収集には大変苦労した記憶があります。
多くの場合、インターネットや国立国会図書館から文献を取り寄せて対応していました。しかし、文庫本など実際に手に取って確認したい文献については、国立国会図書館に足を運ぶ必要がありました。
しかし、準備不足のまま国立国会図書館を訪れた結果、効率的に先行研究を収集できなかった経験があります。そこで今回は、その反省点と対策を共有したいと思います。
※本記事は、国立国会図書館に気軽に行くことが難しい地方在住の方を対象としています。そのため、頻繁に図書館を利用できる方には参考にならない部分があるかもしれません。
事前準備その1:ページ数が少ない文献は取り寄せサービスを利用する
国立国会図書館を訪れて感じたのは、意外と本の取り寄せに時間がかかることです。デジタル版であれば、館内の端末ですぐに確認できますが、物理的な本の閲覧は手間がかかります。具体的には、端末で本を検索し、閲覧手続きを行った後、文献によっては20~30分程度待つ必要があります。その後、図書館のカウンターまで本を受け取りに行かなければなりません。
地方在住の方は、国立国会図書館に滞在できる時間が限られているため、この取り寄せにかかる時間ロスを減らしたいところです。そこで、記事のページ数が少ないものであれば、多少不要なページを含んでも、国立国会図書館の文献取り寄せサービスを利用することをおすすめします。例えば、A4サイズ20頁であれば、1,445円(2023年2月時点)で済みます。
参考:A4サイズ20頁を取り寄せた場合の費用内訳(2023年2月時点)
- コピー料金:27.5円(A4サイズ1頁あたり)×20頁=550円
- 発送事務手数料:275円(図書館1件につき一律でかかる費用)
- 送料:510円(実費)
- 払込票処理手数料:110円
事前準備その2:事前に本の検索と所蔵確認を行う
国立国会図書館の端末で行う検索は、自宅で利用できる「国立国会図書館サーチ」の検索結果と変わりません。館内でスムーズに閲覧手続きができるよう、自宅であらかじめ閲覧したい本を特定し、自分が訪れる図書館にその本が所蔵されているか確認しておくことをおすすめします。
また、週刊誌の記事を閲覧する場合は、巻号まで確認しておくと良いです。館内で週刊誌を閲覧する際、週刊誌1冊を受け取るのではなく、複数の号がファイリングされたものを受け取ります。そのため、目的の記事が掲載されている巻号を把握していないと、該当の記事を探し出すのに時間がかかってしまいます。
例えば、『週刊税務通信』の場合、第2962号から第2973号までが1つにファイリングされています。
事前準備その3:「国立国会図書館サーチ」のパスワードは8文字に設定する
「国立国会図書館サーチ」のパスワードは、8文字から20文字で設定できます。セキュリティの観点からは長いパスワードが望ましいですが、国立国会図書館ではパスワードを入力する機会が多いため、8文字に設定することをおすすめします。
館内では、本の検索や取り寄せ状況の確認などで端末を使用します。これらの端末を利用する際には、図書館で発行されたカードを端末横のカードリーダーにかざし、毎回パスワードを入力する必要があります。
そのため、パスワードが長いと入力の手間が増えてしまいます。特にこだわりがなければ、入力の手間を省くためにも8文字のパスワードに設定することをおすすめします。
事前準備その4:文献を見る目的を明確にする
文献を探して集めたい資料が見つかった際、「本のタイトル、著者名、該当ページ」を記録することが一般的だと思います。その際、なぜその文献を見ようと思ったのか、目的も一緒に書き留めておくことをおすすめします。
先行研究を読み進める中で、読みたい文献のリストを作成しますが、リストが完成した後で意外にも「この文献を読む目的は何だったか」と忘れてしまうことがあります。
目的が曖昧なままリストにある文献を読んでも、複写が必要な箇所を的確に把握できず、結局該当ページのみを複写することになり、文献の取り寄せと大差なくなってしまいます。
さらに、前述のとおり図書館での滞在時間には制約があります。そのため、図書館で本を受け取った後に効率的に複写すべきページを特定するためにも、文献を見る目的を明確にしておきましょう。
終わりに
「国立国会図書館に行く前にやっておきたいこと」についてお話ししてきましたが、いかがだったでしょうか。私自身、初めて東京の国立国会図書館を訪れた際に文献集めがうまくいかなかった経験があります。そのため、地方在住で文献収集にお困りの方々の参考になれば幸いです。
もし他にも気をつけていることや工夫がありましたら、ぜひコメントやメッセージで教えてください。
追記
- 国立国会図書館の休館日:国立国会図書館は日曜日が休館日です。土日を利用して図書館に行く場合は、土曜日しか利用できないのでご注意ください。
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